トルコ|マルマライプロジェクト-ボスポラス海峡横断地下鉄工事|海外の土木・建設プロジェクト

南アジア

日本の技術力で“トルコ150年の夢”を実現

沈埋函トンネルを海底に沈める

アジア大陸とヨーロッパ大陸を海峡横断地下鉄で結ぶ―。ボスポラス海峡の両岸に発達してきた大都市イスタンブールで、古くはオスマン帝国統治下の1860年代に遡る夢のような構想が、150年の時を経て日本の資金援助と技術力で実現した。

改札の向こうに1860年代の海峡横断鉄道の草案が見える(ウスクダール駅)

本工事をもっとも難しくしたのは、様々な条件から、地盤を掘削する工法ではなく地上で建造した沈埋函を海底に沈める沈埋工法でトンネルを建設せざるを得なかったことである。海峡の複雑な潮流の中を、世界最深60mの海底にわずかな誤差で巨大な構造物を設置していく世界的にも類が無い傑出した技術が要求された。工事を受注した大成建設はその要求に見事に応えた。

開通式のセレモニーを待つイスタンブール市民

この工事をさらに困難にしたのは様々な遺跡の出現である。イスタンブールは古くから東西通行の要衝であり、工事を進めるにつれて貴重な遺跡に多々遭遇した。プロジェクト全体のマネジメントを引き受けたオリエンタルコンサルタンツは専門家と協力してこのような遺跡の調査・発掘を粘り強く実施し、工事の停滞に対するコントラクターからのクレームにも適切に対応した。本プロジェクトでは遺跡保存に対する功績も高く評価されている。

イェニカプ駅のコンコース

ボスポラス海峡横断地下鉄はトルコ共和国建国90周年に当たる2013年10月29日に開通した。これによって、フェリーで約30分、2本の橋梁では交通渋滞で約1時間かかっていった海峡の横断時間が僅か4分になった。市民生活の利便性向上や同市の経済発展に大きく貢献している。開通式には両国首脳が列席し、本プロジェクトの歴史的意義が改めて確認された。

開通した地下鉄の利用客(シルケジ駅)

コンサルティング:(株)オリエンタルコンサルタンツ日本コンサルタンツ(株)

『国際開発ジャーナル2014年9月号』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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