ウズベキスタン|タシグザール~クムクルガン鉄道新線建設事業有償資金協力|海外の土木・建設プロジェクト

南アジア

経済発展の要となる鉄道輸送網
効率化へ向けて新線を建設

鋼橋No-5 

ウズベキスタンの鉄道網は、同国の最も重要な輸送手段である。しかし、その建設は旧ソ連時代にさかのぼり、現在の国境はまったく考慮されていないため、主要幹線のいくつかは、隣国を経由しなければ国内を連結できない状況である。首都タシケントと南部のシュルハンダリヤ州、カシュカダリヤ州を結ぶ路線も、その一つだ。

この路線は、始点から終点までの間に隣国トルクメニスタンの国境を2回またいでおり、国境地点の通関手続きや機関車の付け替え作業に時間を要するため、遅延が日常化していた。また、トルクメニスタンに多額の通行料を徴収されるために、物資や乗客の輸送効率が悪く、コストが高いことも問題となっていた。

鋼橋No-2の引渡式にてラマトフ・ウズベキスタン国鉄総裁がスピーチ。(後方右から)清水建設の大石所長、日本交通技術の木内プロジェクトマネジャー、在ウズベキスタン日本大使館外山一等書記官が参列

 

そこで、このプロジェクトでは、国境を越えずに走行できる、同路線上のタシグザール~クムクルガン間(約220km)に新線を建設した。単線で電化されていない上、標高差1,180mの峠越えがあり、また、半径600m以下の急カーブと10%以上の勾配がそれぞれ新線区間の23%と29%を占めるなど、非常に厳しい線形であった。さらに、事業の実施にあたっては、設計段階でロシア規格とJIS規格の不整合が発覚したり、原油価格が急騰するといった事態が発生したほか、施工監理段階でも内陸国に建設資材を輸送する難しさに直面したり、施工行程の再調整を迫られるなど、さまざまな困難にぶつかりながら乗り越えた。

本案件は、本邦技術活用条件(STEP)で実施されており、曲線部のレールや5つの鋼橋の資材は日本製が調達されている上、橋梁は日本企業が施工にあたった。この事業によって、当該区間の輸送費が削減され、輸送距離・時間が短縮されるとともに、輸送力が増強され、輸送の信頼性が確保される。なお、同区間に対しては、現在、施設維持監理に関するJICAの技術協力も実施されている。

鋼橋No-4

コンサルティング:日本交通技術(株)
橋梁建設:清水建設(株)新日鐵エンジニアリング(株)(当時)
信号・通信システム調達:三井物産(株)
レール調達:三井物産(株)丸紅(株)

『国際開発ジャーナル2013年7月号』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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