フィリピン 農業振興を通じたミンダナオの平和目指す「HARVEST」円滑な実施と開発効果の発現に貢献|海外の土木・建設プロジェクト

南アジア
ミンダナオ島にて融資候補先への事業内容の聞き取り

アグリビジネス振興・金融アクセス強化プロジェクト
(フェーズ2)

 

平和の配当を人々に

揺らぐことのない平和構築への取り組みが進むフィリピン・ミンダナオ島のバンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域(BARMM)。日比政府間の合意に基づき、国際協力機構(JICA)とフィリピン土地銀行(LBP)は2017年1月、ツーステップローン型の円借款「アグリビジネス振興・平和構築・経済成長促進事業(HARVEST)」の契約を締結した。

同地域におけるLBPによる中小零細企業や農業協同組合への融資を通じて、農業関連ビジネスを促進し、雇用機会創出や生計向上をもたらすことで、政府と対峙してきたモロ・イスラム解放戦線(MILF)戦闘員とその家族をはじめとする地域住民の暮らしを安定させる、いわば平和の配当を届けることが目的だ。

協力成果の波及に期待

 HARVESTの円滑な実施と開発効果の一層の発現を目指し、付帯技術協力プロジェクトとして実施されたのが本事業であり、①バリューチェーン(VC)アプローチの普及促進、②中小零細企業、農業協同組合などの金融アクセス能力強化、③LBP職員の能力強化、などで成果を上げた。特に、同地域でポテンシャルの高い海藻VC関係者間の覚書締結やVC支援テンプレートの整理などを通じ、他の農作物VCを振興する基盤を作った。また、借手側への研修により融資や金融リテラシー向上のニーズが喚起されたほか、インドネシアや日本での研修を通じて、LBPでは動産担保融資(ABL)やデジタル化などの具体的な検討が進展する模様。今後の同地域やその周辺地域への成果波及が期待される。

 

 

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『国際開発ジャーナル2023年5月号』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

 

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