カンボジア カンボジア初の4年制教員養成大学を建設技術協力との連携で相乗効果にも期待|海外の土木・建設プロジェクト

南アジア

教員養成大学建設計画<無償資金協力>

コンサルティング:(株)毛利建築設計事務所╱インテムコンサルティング(株)共同企業体
施工:三井住友建設(株)

カンボジア政府は、2030年までに自国を高中所得国に引き上げるとし、その鍵を握る人的資源の確保を重視し、中でも基礎教育を担う教員の質的なレベルアップに取り組んでいる。

一方、同国の教員養成制度は紛争復興期の圧倒的な教員不足に対応するため変則的な短期研修から始まっており、1998年に高等学校卒業後2年間の教員養成課程を受講する制度に移行後は、この制度の下、小・中学校教員を養成・拡充し、基礎教育の普及に努めてきた。ところが、近年は教員の知識・授業実践力の不足に起因する基礎教育レベルの低下が顕在化し、その改善が急がれていた。基礎教育の質を高めていくためには教員養成課程の2年制から4年制への移行や基盤整備など抜本的な改革が必要と判断したカンボジア政府は、プノンペン市とバッタンバン州にある既存の2年制教員養成大学2校の建て替えと教育用資機材の調達を計画。日本政府に無償資金協力の実施を要請した。交換公文と贈与契約が結ばれたのは2017年12月。供与額は31億7,000万円。

今回の協力により建設・整備された施設は、既存の2大学キャンパス内の校舎など9棟。プノンペン教員養成大学では講義棟、管理棟、図書館、講堂が、またバッタンバン教員養成大学では同じ4施設に加え、学生寮が新設された。

一方、国際協力機構(JICA)は本件の実施に連動させ技術協力「教員養成改革のための基盤構築プロジェクト」を展開しており、4年制教員養成大学設立に必要な新たなカリキュラムやシラバス、教材開発などを支援している。その相乗効果の発現にも期待が高まっている。質の高い教員の養成が基礎教育の現場と質にどう効果を上げていくのか、注目される。

『国際開発ジャーナル2022年3月号』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

 

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