ナジェリコ農産加工団地プロジェクト
パレスチナの経済的自立を支援
日本政府は「平和と繁栄の回廊」構想のもと、日本、パレスチナ、イスラエル、ヨルダンによる地域協力を通じた社会経済開発およびパレスチナの経済的自立を目指した支援を推進しており、㈱パデコは2009年から10年以上にわたり、その旗艦プロジェクトのジェリコ農産加工団地(JAIP)の開発・運営に取り組んでいる。
JAIPは3段階による開発を計画。2023年時点でフェーズ1の開発は概ね終了し、フェーズ2の開発に着手している。約10ヘクタールを開発したフェーズ1では、43区画中41区画に30社が入居。その中にはイスラエル在住のアラブ人が設立した企業や製品をヨルダンに輸出する会社や、パレスチナ自治政府とヨルダン政府が農産品の輸出促進を目的に共同で設立したヨルダン・パレスチナ農産品振興公社も入居し、日本政府の構想は着実に実現しつつある。
しかし、道のりは平たんではなかった。もともとパレスチナでは工業団地の概念が一般的ではなく、その監督を担う監督官庁もコンセッション契約を結んで工業団地の運営を担う民間事業者も工業団地の提供すべきサービスを十分に把握していなかった。そのためJAIPに期待を寄せて入居したテナントが不満を吐露することも少なくなかった。その中でコンサルタントチームは、日本や海外などの事例を説明しつつ、時には監督官庁や事業者の担当者と共にサービス提供を担い、サービスの改善に努めた。また、コロナ禍により業績が悪化したテナントの資金繰り支援のため金融機関へ駆け込むこともあった。関係者間の信頼関係は構築・強化されつつある。
※グローバル化の時代、災害や都市整備、医療などさまざまな分野で、日本の技術は海外でも必要とされています。このHPでは、海外で活躍するチャンスを探している人に、キャリア相談を承っています。あなたの熱意をぜひお寄せください。お待ちしています。
『国際開発ジャーナル2023年5月号』掲載
(本内容は、取材当時の情報です)
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