ボリビア 日系人らが暮らす農業生産地域と都市部のアクセスを改善し地方開発と成長に貢献|海外の土木・建設プロジェクト

中南米
経済都市サンタクルス市に延びるオキナワ道路

オキナワ道路整備計画<無償資金協力>

コンサルティング:(株)片平エンジニアリング・インターナショナル
施工:(株)安藤・間(株)フジタ共同企業体

南米の内陸国ボリビアの道路網は、同国の輸出入貨物の約7割を支える重要な輸送インフラだ。ところが、厳しい自然条件や起伏に富んだ地形により、道路舗装率はわずか8.5%にとどまっている。未舗装の道路は、地域発展や円滑な物流の大きな阻害要因である。同国政府は国家開発計画で運輸セクター強化を「生産力のあるボリビア」の実現に不可欠とし、道路舗装率の向上に注力している。

今回の事業の対象となったオキナワ道路は全国農業生産高の約50%を占めるサンタクルス県北部などの農業生産主要地域と経済都市であるサンタクルス市を結ぶ幹線道路だ。多くの日系人を含む移住地住民が暮らす同県のオキナワ市も通っていることから「オキナワ」の名がついている。

ただ、同道路は未舗装かつ軟弱地盤上を走るため、雨期に入るとわだち掘れや冠水が生じ、車両事故や通行困難な状況を引き起こしていた。そこで同国政府は、同道路を整備するため日本政府に無償資金協力の実施を要請した。

事業はオキナワ市のオキナワ第1から第2移住地間を結ぶ19.1km(2車線)の道路舗装、橋梁架け替え、排水施設などを整備するものだ。2019年8月に着工した。ところが、コロナ禍により、2020年3月から工事の一時中断に追い込まれた。中断期間は約10カ月に及んだ。2021年1月末に工事を再開したものの、作業員の再確保、建設資材の交換などが必要となった。日本政府は追加贈与(3億8,100万円)を行い、工事の進捗を支えた。追加分を含めた支援額は46億3,000万円。

今回の協力により、日系人らが多く暮らす農業生産地域と市街地のアクセスが改善されるほか、ボリビアと南米域内を結ぶ国際道路ネットワークの形成・整備にもつながる。国内外の物流改善と地方開発、経済発展への貢献に期待が高まっている。

コンクリート舗装工事

重機による橋梁部分の杭施工

 

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『国際開発ジャーナル2023年4月号』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

 

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