コタバト都市圏の総合開情報収集・確認調査
コタバトの都市問題に立ち向かう
40年以上にわたり紛争が続いていたフィリピンのミンダナオ島西部地域では2019年の住民投票によりバンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治区(BARMM)が確定し、これを受けバンサモロ自治政府が発足した。コタバト市はBARMMの中心都市で、人口は約30万人。ただ年率4%で急増し、無秩序な都市化が進んでいた。これらの都市問題に対応するため、2020年3月から国際協力機構(JICA)によるコタバト都市圏の総合開発情報収集・確認調査が実施された。マスタープラン策定と共に技術移転も重要なコンポーネントとなった。コタバト都市圏の一体的な開発構想図に加え、インフラ整備プロジェクト(都市交通、上下水、廃棄物処理、電力配電網、空港・港湾など)計画も策定した。
オンラインの制約を乗り越えて
当初、調査団はコタバト市に常駐し調査する予定であったが、コロナ禍のためリモートでの実施となった。そのため、現地の地方自治体や関係機関とは月2、3回オンライン会議を開催。BARMMと地方自治体で政治的な課題があり、一堂にオンライン会議を実施するのは難しい局面もあった。しかし、事前に現地スタッフを活用して調整を図り、技術面から将来開発方向性の妥当性を示した。さらに、現況の課題や将来開発方向性を現地から発表してもらい、調査団の考え方を示し、議論を行いながら方向性を決めていく手法を採用。そうしたところ、彼らの要望を踏まえた計画となり、関係機関から十分な支持が得られた。この計画に基づき、平和構築実現に向け、インフラ整備支援が始まろうとしている。
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『国際開発ジャーナル2023年5月号』掲載
(本内容は、取材当時の情報です)
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