ケニア国 北部牧畜民の干ばつレジリエンスを強化|海外の土木・建設プロジェクト

アフリカ

トゥルカナ持続可能な自然資源管理及び代替生計手段を通じたコミュニティのレジリエンス向上プロジェクト<技術協力>

専門家チーム:日本工営(株)

災害と聞くと私たちは地震や洪水を連想するが、アフリカの人々がまず思い浮かべるのは「干ばつ」である。同地では、近年その頻度と強度が増加していると言われており、2012年に国際協力機構(JICA)は初めて牧畜民を対象にレジリエンス強化事業を開始した。本事業はその後継案件である。

本事業では、まず井戸の新設と改修を行い、牧畜生活の要である「水」を確保。それらが適切に管理できるように地理情報システム(GIS)データベースを構築した。特に低予算でデータ更新ができるシステムを開発・導入。関係者からは「更新作業が容易に行えるようになった」と好評だ。

また、代替生計手段・栄養改善の観点から、野菜栽培・摂取についての意識変革と行動変容を促す方法を模索した。女性グループへの栽培訓練を行い、近年生徒数が急増している「小学校」を入口とするユニークな活動も実施した。

例えば、普段野菜を食べ慣れない牧畜民の子どもに対し、1年半、週2回給食で野菜を提供し続けた。その結果、当初は野菜摂取に抵抗があった子どもたちの意識が変化し、皆が喜んで野菜を食べる様子が観察された。「親を変えるには、まず子どもから」である。

さらに授業の一環として、学校菜園実習の後「野菜の観察絵日記」を宿題として出し、家庭で親と子が野菜栽培に勤しむ機会を提供した。子どもと共に野菜栽培を初めて体験した親たち曰く「野菜栽培は思っていたよりも簡単」とのこと。期待通り、宿題が終了しても多くの親が自主的に野菜栽培を継続している。人は授けられた知識よりも、自分で掴み取った経験を重宝すると改めて実感した。

寄稿:日本工営(株)農村地域事業部地域整備部 チーフスペシャリスト 村上 文明

〈日本工営のアフリカ援助方針〉
当社は1984年にナイロビにアフリカ地域オフィスを構え、2017年には経済成長と人口増加に伴う開発ニーズに対応するため現地法人を設立しました。地域人材と共に迅速・的確なコンサルティング業務を提供しています。

『国際開発ジャーナル2022年8月号』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

 

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