パティンバン新港アクセス道路建設事業〈有償資金協力(STEP)〉
コンサルティング:(株)片平エンジニアリング・インターナショナル大日本コンサルタント(株)、他5社共同企業体
施工:清水建設(株)、PTPP(Persero)、PT Bangun Cipta Kontraktor共同企業体
インドネシアのジョコ・ウィドド政権は「海洋国家構想」を掲げ、港湾整備による連結性の向上と輸送インフラの拡充を重視。その整備に注力している。
同国の港湾取り扱い貨物量は急増しており、ジャカルタ首都圏唯一の国際港湾・タンジュンプリオク港の年間コンテナ取り扱い量はその能力の限界に達しつつある。また、多くの日系企業が集積する西ジャワ州カラワン県の工業団地から同港へのアクセス問題が顕在化するとともに、交通渋滞の解消も急務になっていた。
こうした背景の下、2016年にパティンバン港開発事業が「国家戦略プロジェクト」の一つに位置づけられ、日本政府は「パティンバン港開発事業(第一期)」に対する有償資金協力を決定した。
パティンバン港開発事業の第一期は4つのパッケージから構成され、パッケージ4として実施されたのが主要幹線道路の国道1号線から新港へのアクセス道路建設事業だ。アクセス道路の概要は、片側幅員10.65m、上下2車線の延長8.2km。建設地の大半が軟弱地盤の水田地帯であったことから、盛土(0.7km)、パイルスライブ高架道路(5.9km)、フライオーバー(1.6km)の3構造で工事が進められた。工事契約が結ばれたのは2018年8月。着工の矢先、液状化対策として発注者から既成杭の設計変更指示があったことや、さらに同国政府による土地収用が難航したこともあり、工事の大幅な遅延が懸念されたが、専用コンクリートプラントの設置など、施工を担当した清水建設の精力的な取り組みもあり、工期を遵守していった。
また、工事期間中は新型コロナのパンデミックに見舞われたものの、徹底した防疫対策を講じて工事を継続。契約工期を2カ月弱短縮した2020年10月、「現場感染者ゼロ」を達成しながら竣工に漕ぎつけている。
- 軟弱地盤の液状化対策としてパイルスラブ高架工事が行われた
- 現場に設置された専用コンクリートプラント
- 「ガジラ」大割機による杭頭処理。工期短縮に威力を発揮した
- 三点式杭打設機械による既製杭打設
- 現場事務所の定期消毒。 「現場感染者ゼロ」を達成
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『国際開発ジャーナル2022年12月号』掲載
(本内容は、取材当時の情報です)
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