自治体のノウハウ生かす
ミャンマーの最大都市ヤンゴンでは、1840年代から上水道の整備が進められてきたが、給水普及率は約40%、給水時間は1日平均で約8時間に留まっている。
こうした状況を踏まえ、国際協力機構(JICA)は2012~14年、ヤンゴン市における上水道の改善を目指し、マスタープランの策定を支援した。さらに、14年からは円借款を通じて、給水施設の整備や上水の塩素消毒設備の設置などを後押ししている。
その一方で、ヤンゴンの上水道を所管するヤンゴン市開発委員会(YCDC)水・衛生局は、計画や規則などが未整備で、財務管理や顧客サービスに関するノウハウも十分に蓄積されていない。さらに、無収水率が6割を超え、水質管理能力が不十分だという課題も抱えている。
こうした背景から、15年7月より実施されているのが、技術協力プロジェクト「ヤンゴン市開発委員会水道事業運営改善プロジェクト」である。このプロジェクトの中では、これまで、YCDC水・衛生局の組織の再構築に加え、将来ビジョンの設定、研修体制や無収水管理体制、水質管理体制の構築が進められてきた。17年1月に開催された第3回合同調整委員会には、YCDCの主要メンバーやJICA関係者ら100人以上が集まり、今後必要な規程や基準、ガイドライン、マニュアルについて議論が交わされた。第2期を含めると、協力は2020年まで続く予定だ。
なお、このプロジェクトには、開発コンサルタントのTECインターナショナルに加え、東京都水道局のパートナー企業である東京水道サービスとPUCも参加しており、東京都がこれまで培ってきた上水道の経営ノウハウが生かされている。
コンサルティング:(株)TECインターナショナル/東京水道サービス(株)/(株)PUC
『国際開発ジャーナル2017年4月号』掲載
(本内容は、取材当時の情報です)
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