<無償資金協力>
砂漠の中の世界遺産を守るために
ヨルダン
ペトラ博物館建設計画
コンサルティング:㈱フリータイム・インターナショナル
㈱山下設計
インテムコンサルティング㈱
新・世界7不思議に選ばれたヨルダンのペトラ遺跡は、長さ約1.5km、高さ100mにも達する峡谷を越えてようやくたどり着く。岩山に彫り込まれたこの古代都市遺跡は、紀元前3世紀から紀元2世紀にかけて栄えたナバテア王国の都であり、同国が誇る世界遺産の一つである。ヨルダンでは、観光業は外貨獲得のための主要産業であり、最大の雇用の創出源にもなっている。その中でも、世界遺産であるペトラは同国最大の観光地の一つである。しかし、遺跡以外の観光施設などの整備が不十分なため、観光客の滞在時間は非常に短く、観光業による経済効果が地元には十分反映されていない。また、ペトラでは先史時代から中世に至るまで多くの文化財が出土しているが、その展示や保存は適切であるとは言い難いものであった。このような状況を背景に、今回のプロジェクトではペトラ遺跡の玄関口に博物館が建設され、さまざまな機材が納入された。博物館の設計に当たっては、遺跡の入り口という立地条件から、世界文化遺産ゾーンでの景観影響を最小化し建物ボリュームを抑える必要があり、その制約の中で印象的な外観の実現と内部空間の充実化が図られている。この無償資金協力に続く技術協力を含めた一連の事業により、遺物の保管・展示、遺跡の歴史や遺跡保存の重要性に関する情報などの提供・発信を行う体制が整備された。このことは、同地域における観光客数の増加、観光客一人当たりの経済効果の増大、観光産業の振興などにも貢献し、雇用創出、外貨獲得など同国の社会経済発展にも大き く寄与するものとなる。
コメント