2020年国際協力キャリアガイド:
明治大学専門職大学院

 

学校紹介「明治大学専門職大学院 ガバナンス研究科(公共政策大学院)」

  明治大学専門職大学院ガバナンス研究科は、高度な専門知識と政策立案能力、調整力と問題解決能力に加えて、国際的な視野を備えた公共政策のプロフェッショナル育成を目指す公共政策大学院だ。在学生の8割が現役の公務員、首長、議員、NGO職員、会社員、経営者などの社会人。それを反映して、20代から60代までの幅広い年齢の学生が学んでいる。授業は平日夜間と土曜日に開講されており、仕事と学業を両立しやすい環境が整う。
また、同研究科では、日本政府の「人材育成奨学計画(JDS)」などを通じて積極的に留学生を受け入れている。東南アジアや中央アジアの現役の公務員が多く、在学生の4割から5割を占める。教室ではこうした多様な学生たちが、教員と共に日々建設的な対話を繰り広げている。主に留学生が学ぶ「英語コース」の授業は昼間に開講されているが、日本語の授業を履修する学生が英語コースの授業を受けることも可能。日英どちらのコースの授業も講義を聴くだけでなく、プレゼンテーションやグループワークの機会が多いので、現役の官僚である留学生と意見を交換しながら学ぶことができる。また、通訳が入って日曜日に開講される「日英授業」に参加することも可能だ。
職業や掘り下げたいテーマに合わせて「都市/地域政治」「自治体マネジメント」「『公共』の創生」「国際開発/協力」「消費者政策と市場の展開」の五つの履修モデルが用意されており、学生はこれらを目安にオリジナルの履修計画を組み立てることができる。教員が第一線に立ち最新事情に精通していることも研究科の大きな魅力となっている。

 

先生に聞きました!

ガバナンス研究科 教授・専門主任
松浦 正浩先生

都市計画・交渉が専門。政策創造研究、政策研究、課題設定演習などを担当。


私は政府や自治体が公共政策を決定する時に関係者とどう合意形成を図るかを研究しています。
例えば、「公共政策の交渉分析」という授業では、地権者や工事業者などと、どのようにしてフェアで、かつ利益の上がる交渉・取り決めをするかについて考えます。全15回の授業のうち7回が演習で、学生にはそれぞれ土地所有者と購入希望者などを演じてもらい、教室で値段や条件について交渉するのです。事前に理論は教えておくのですが、理屈ではわかっていても、実際には慣れないとできないことが多いですから。理論と実践を結び付けるトレーニングですね。
学生のなかには会社員や企業経営者がいます。逆に普段から交渉し慣れているはずなのですが、受講後に、これまで感覚的にやってきたことを理屈で理解できるようになったと言っていました。
留学生と一緒に勉強できるチャンスもあります。日本語のコースに入学しても、ある程度英語力があれば留学生中心の英語コースの授業を受けることも可能です。グループワークやディスカッションが多いので、国際協力を志向する人であれば、こうした機会を活かすこともできます。
また、専門職大学院ですので、研究が中心になる大学院よりも授業が多くなり、基礎からしっかり学ぶことができます。そのため、ある意味ハードルが低くなっていて、授業を通じて学生同士のつながりも生まれやすくなっていると思います。
平日の夜に授業がある点にも注目していただきたいですね。週末も土曜日の授業と日曜・祝日に開講する集中授業があるので、ハードではありますが、社会人の方にとっては、休職の必要がないのが魅力だと思います。
修了後は元の職場に戻る人が多いですが、なかにはNPOやNGOを立ち上げたり、議員に立候補したりする人も。進路が本当に多様なのも当研究科らしいと感じています。


学生さんに聞きました!

国際協力学専攻修士 2年(取材当時)
坂戸市議会議員 ガバナンス研究科修了 中村 拡史さん

10代の頃からフィリピンでボランティアに参加したり、国際医療NGO・ペシャワール会の事務局に勤めたりした後、バングラデシュのグラミン銀行でマイクロファイナンスについて学びました。国際協力やマイクロファイナンスを学問的に深めていきたいと考えて、2018年9月に入学しました。
在学生に現役の県議会議員の方がいたり、東京都の区長が講義に来られたりして刺激を受け、今年4月、出身の埼玉県坂戸市の市議会議員に立候補し、当選しました。
授業では常に議論が行われています。特に、松浦先生の授業で、反対意見に対して自分の意見を受け入れてもらう方法や、政策の立案、交渉による合意形成のプロセスを学んだことも勉強になりました。
教授陣には国際協力機構(JICA)や国際機関で仕事をしている方もいて、生きた知見を得ることができますし、今後のキャリアに結び付く人とのつながりを得ることができるのも、大きなメリットだと思います。

『国際協力キャリアガイド2020-21』掲載

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