岸壁の修復と地上部の舗装で経済復興の要となる港を改修
アンゴラでは、1975年にポルトガルから独立した後、2002年まで27年間にわたり内戦が続いた。その間に多くのインフラが破壊され、経済は疲弊した。しかし、同国はナイジェリアに並ぶサブサハラ最大の産油国であるほか、ダイヤモンドなど豊富な鉱物資源にも恵まれているため、本来経済的な潜在能力は極めて大きい。
内戦終結とともに経済復興に着手した同国を支援するため、日本は物流の要となる主要4港(ルアンダ、ロビト、ナミベ、カビンダ)の調査を行い、それに基づいて無償資金協力「緊急港湾改修計画」を実施した。このプロジェクトではナミベ港のおよそ半分の区画が整備され、2010年に完工した。本計画はこれに続くナミベ港整備プロジェクトであり、残り半分の区画の岸壁の修復、コンテナヤードの舗装、冷凍・冷蔵用コンテナの保管施設の整備などが実施された。
岸壁の整備においては、大型貨物船と岸壁が接触して損傷しないように、以前はなかった防舷材が240mにわたって岸壁に取り付けられた。また、計8基の係船柱や車止めも設置され、船舶の安全な停泊を実現した。地上部では、砂ぼこりが舞っていたエプロンやコンテナヤードが舗装されて貨物の積み下ろしが極めてスムーズになった。
ナミベ港は内陸南部の都市メノンゲと結ぶモサメデス鉄道の起点であり、花崗岩や大理石、鉄鉱石などが豊富な同国南部からの鉱物資源の積出港であるとともに、日用品や建設資材を輸入する地域の主要港湾でもある。本計画によって国際的なコンテナ輸送に対応できる近代的な港湾に生まれ変わったことで、ナミベ港が同国南部の経済発展に大きく寄与していくものと期待される。
コンサルティング:(株)オリエンタルコンサルタンツグローバル、(株)パデコ
施設建設:東亜建設工業(株)
『国際開発ジャーナル2020年11月号』掲載
(本内容は、取材当時の情報です)
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