中川透さん|海外で働く建設・技術者インタビュー事例集

海外で働く建設・技術者インタビュー事例集

社員インタビュー

学生時代

高校生の時に、政府開発援助(ODA)による橋梁建設のテレビ番組を見て「進むべき道はこれだ」と思い、大学では土木工学科を専攻しました。しかし、阪神大震災後のボランティア活動を通して「食べ物があることの大切さ」を痛感し、食糧問題に関心を持つようになりました。大学でも食糧を作るために必要な「水」に関する分野を専攻しました。その後海外の食糧問題にも関心を持つようになり、農村開発を行っているNGOでのボランティア活動をラオス、ジンバブエ、南アフリカなどで行いました。

国内での業務経験

大学院修了後、国内専業の建設コンサルティング企業で7年半の間ダム事業に携わり、調査、設計、積算、震災復旧、耐震解析などの技術力を積み上げました。

入社後

海外での業務経験がなくTOEICの点数もない、という状況でしたが、国内の業務経験が買われて当社に入社しました。入社後すぐにベトナムのプロジェクトに参画しましたが、英語力が不十分でかつ初めての海外業務であり、チームに迷惑を掛け、リーダーから厳しく叱責されたこともありました。後にそれは私の将来を見越した教育であったことを知り、今は感謝しています。その後、英語力は急激に向上し、2年前からはプロジェクトの総括を務めるようになり、開発コンサルタントとして第2のステージが始まったと感じています。

印象深いプロジェクトや業務は?

ブータンで実施した「サルパン県タクライ灌漑(かんがい)システム改善計画」では、受益者の方々に灌漑(かんがい)施設の維持管理の方法を指導するというソフト面の業務にも取り組みました。それまでは、施設の調査や設計、施工管理を行うハード面の仕事がほとんどでしたが、このプロジェクトでは初めて「人」と直接接する仕事に従事し、とても新鮮で、難しさと楽しさの両方を実感しました。一方、「土木技術者だからこそできるソフト面の支援がある」ということも実感しましたので、今後はそうした業務にも注力していきたいと思います。

この仕事を目指す読者へ一言

開発コンサルタントは、専門知識以外にも社会常識、目上の人への敬意、そしてちょっとしたユーモアなど、総合的な人間力が求められます。文化の異なる海外での開発プロジェクトでは、それらを総動員して信頼関係を築くことが成功の鍵だからです。一方で、語学力が十分でなくても技術者は図面を通して会話することが可能ですので、興味がある方は語学力が少々不安でも、まずはこの業界に飛び込んでみてほしいと思います。

中川透さん(三祐コンサルタンツ 海外事業本部 技術第2部 技術科課長)

これまでの主な担当プロジェクト
●ベトナム・クアンガイ省小規模貯水池修復計画
●南スーダン・灌漑(かんがい)開発マスタープラン策定支援プロジェクト
●ブータン・サルパン県タクライ灌漑(かんがい)システム改善計画

Career Path

24歳
早稲田大学大学院修了後、建設コンサルティング企業に入社。国内でダムを初めとする河川構造物の調査、設計、積算、震災復旧、耐震解析などに従事

32歳
三祐コンサルタンツに入社。ベトナムの生活貯水池改修プロジェクトに参加

39歳
初めて総括を務める

会社情報|株式会社三祐コンサルタンツ

ミャンマーの「バゴー地域西部灌漑(かんがい)開発事業」で整備された圃(ほ)場

農業農村開発・水資源開発で高い評価

三祐コンサルタンツの社名は、「『天地のお力』『人様のお力』『自身の力』、この三つの大いなるものの祐(たすけ)を得なければ総てのことは成し遂げることができない」という久野庄太郎・初代社長の言葉に由来している。

久野氏は、日本の農業開発史に刻まれる「愛知用水」の建設で、地域のまとめ役となって事業を成功に導いた功労者である。愛知用水は、1961年に完成した、木曽川から知多半島まで全長112キロの用水路を建設した一大事業で、農業・工業用水や上水道の供給網として中京地域の繁栄を支えている。このプロジェクトで培った技術を後世に伝えるため、プロジェクトに従事した若いエンジニアたちが62年に同社を創設した。当時の熱い息吹は今も社内に受け継がれている。

同社は国内だけでなく、世界90カ国以上で農業・農村開発や水資源開発の実績を持ち、同分野で日本を代表する開発コンサルティング企業として知られる。

新卒や中途の採用は、農業土木分野の理系人材をはじめ、文系出身者も積極的に受け入れている。文系人材には、経済や社会開発などの分野での活躍が期待されるほか、国内で海外プロジェクトの新規案件形成支援や契約管理支援などを担当する機会も用意されている。

最近は、各人のキャリアパスに合わせ、多様な働き方が可能な職場環境の実現にも力を入れている。また、途上国開発の仕事に関心を持つ大学生・大学院生を対象としたインターンシップを実施するなど、次世代の人材育成にも精力的に取り組んでいる。

POINT
・農業農村開発のリーディング・カンパニー
・経済や社会の専門家も積極的に登用
・創業者の熱い思いを受け継ぐ

Company data

(株)三祐コンサルタンツ
代表者:代表取締役社長 久野格彦
設立:1962年
資本金:5,977万円
従業員:261人
本社:愛知県名古屋市
海外拠点:マニラ、ヤンゴン、カイロ
住所:
〒461-0002 愛知県名古屋市東区代官町35-16(本社)
〒170-0004 東京都豊島区北大塚1-13-17(海外事業本部)
TEL:052-933-7801(本社) 03-5394-8991(海外事業本部)
Email:m-ovs-eigyo@sanyu-con.co.jp(海外事業本部)

事業分野:農業開発、水資源開発、経済・社会開発に関わる企画、設計、施工管理、運営指導、環境アセスメント、組織強化、人材育成支援など

Recruitment

・募集職種:開発コンサルタント(土木、農業土木、給水、下水、衛生工学、地下水、地質、経済、農業経済、農業、社会学)営業職(ODA事業に関する新規案件形成、プロポーザル作成、契約管理、業務執行支援、出入金管理など)
・募集人数:若干名
・募集人材:文系・理系新卒・中途学士・修士

『国際協力キャリアガイド2017-18』に掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

キャリア相談をする

Follow me!

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました