アジアハイウェイの橋梁を架け替える
中央アジア5カ国の一角を占めるキルギスは、国土の40%が標高3,000mを超える。険しい山地が多いために鉄道網は未発達で、国内の物資の輸送や人々の移動は95%が道路交通に依存している。
現在、同国の道路網は3万4,000kmに及んでいるが、そのほとんどは旧ソ連時代に整備された。しかし、1991年の独立に伴いロシア人技術者が現地に技術を継承しないまま引き揚げたため、これまで適切な維持管理が行われてこなかった。さらには、経済の低迷による資金不足から改修も十分に行われておらず、老朽化が進行している。
本案件では、老朽化した道路・橋梁の中でも改修の緊急性が最も高い「クガルト川橋梁」の架け替えを行った。この橋梁は、老朽化に加え、洪水により橋脚部が激しく損傷していた。だが、橋梁が架かっている道路は、首都ビシュケクと第二の都市オシュを結ぶ同国の最重要幹線の一つ。さらには、ロシアからタジキスタンまでの南北をつなぐアジアハイウェイの一部でもあり、中央アジア地域経済協力(CAREC)の域内国際回廊の役割も担っている。このため、クガルト川橋梁が崩落すれば、同国および域内の南北の交通が遮断されるおそれがあった。
架け替え工事は、2015年9月に竣工した。橋長は89m、総幅員は12.8mあり、この長さの橋梁の設計・施工は同国の技術では困難であったため、日本の技術が採用されている。さらに、本案件では取り付け道路の舗装(計511m)と護岸工事(計1,527㎡)も同時に実施された。これら工事により幹線道路では安全・円滑な通行が可能となり、今後は沿線住民の生活の向上や、同国および域内経済の活性化につながることが期待されている。
コンサルティング:セントラルコンサルタント(株)
施設建設:岩田地崎建設(株)
『国際開発ジャーナル2018年4月号』掲載
(本内容は、取材当時の情報です)
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