モザンビーク|ニアッサ州における地方給水施設建設計画

現地の人々を巻き込み安全な水を州全体へ届ける

言葉の壁や困難な道のりを乗り越え

モザンビークのニアッサ州は、天然資源や農業分野におけるポテンシャルが高い同国北部のナカラ回廊に位置しており、近年の開発により人口の増加が進んでいる。一方、人口増加に伴う給水需要の高まりに対し、給水施設の整備は進んでいない。同州の給水率は、43%(2019年、国家給水衛生局)と全国で2番目に低く、喫緊の課題となっている。本プロジェクトでは、ニアッサ州マンディンバ郡、マジュネ郡、ムエンバ郡、マヴァゴ郡の対象4郡において、100カ所のハンドポンプ付深井戸施設と4カ所の管路系給水施設の建設を行う。州全体において安全な水へアクセスできる人口を約8万6,000人増加させることを目指す。

地方給水工事は現場へのアクセスと調達が成功の鍵となる。ニアッサ州は首都から最も離れた州であり、現地企業ですら音を上げてしまうほどの厳しい未舗装道に加え、橋が落ちるといったトラブルも付きまとう。さらに、現地下請け企業の井戸掘削2社、土木工事3社との細かい擦り合わせは、公用語のポルトガル語が大きな壁となり、苦労したことも多々あった。それでも、アクセスの厳しい郡では、自社直営チームでコンクリート高架タンクを建設するなどの工夫を凝らし、無事に建設を完了した。

総延長74kmの配管路の掘削は、その70%が現地作業員による人力掘削で施工している。作業員には女性も多く、女性活躍の場にもなっている。これは、同国の目指す男女雇用機会均等へも貢献していると言える。

現在、私を含め6人の邦人職員が工事に従事しており、時には泥だらけになりながらも、苦労の数だけ命の水が行き渡ることを願い、完了が近づく中で作業が続けられている。

プロジェクトギャラリー

現場への橋が倒壊。迂回で3時間余計にかかることに

建設中の高架水槽。各戸給水栓と公共水栓により水が供給される

事務所や塩素注入室を兼ねた管理棟

村人へのメンテナンス指導をへて引渡しされるハンドポンプ

安全管理の要となる作業前の朝礼

プロジェクト担当者

(株)利根エンジニア 海外工事本部
小坂 祐介さん(こさか・ゆうすけ)

法政大学人間環境学部卒業後、利根エンジニア入社。在学中のバックパッカー旅行経験からアフリカに井戸をつくることに興味を持ったことが入社のきっかけ。現在はモザンビークにおける地方給水建設案件に従事。

※国際開発ジャーナル2025年2月号掲載

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