持続的で安全な飲料水の供給を目指して
ルワンダ農村部における給水事業
ルワンダ政府は管路給水施設(水道)による100%の給水を目指している。しかし、起伏の激しい地形に阻まれ、農村部の管路給水の普及率(以下、2022 年センサスデータ)は38%にとどまっている。また、水理地質的に地下水開発のポテンシャルが低くハンドポンプ井戸が大半であるが、維持管理体制が弱いため稼働率が低く、ハンドポンプの普及率はわずか3%に過ぎない。一方、湧き水には恵まれているため、農村部の人口の49%が飲料水として利用している。しかし、その約3割は汚染を防ぐ施設が無い水源を利用しており、水因性疾患のリスクにさらされている。
本プロジェクトでは、ルワンダ政府から管路給水施設の運営維持管理を委託されている民間事業者に対する塩素消毒などの水質管理をはじめとした能力強化活動や、対象地域の給水施設および学校、病院などの公共施設をマッピング調査して収集した地理情報システム(GIS)データを基に資産台帳を作成し、持続的な維持管理のための施設更新計画を作成する活動、さらにオープンソースのGIS ソフトや水理計算ソフト、標高データなどを利用して未給水の公共施設までの給水拡張計画を作成する活動などを実施し、給水サービス能力の強化に取り組んでいる。
また、湧水(ゆうすい)の安全な水利用のため、水源を保護するモデル施設の建設や住民啓発活動によりコミュニティごとに水安全計画を作成する活動などを行う。
ルワンダ政府の改革のスピードは速く、本プロジェクト実施中にも水衛生政策の変更やカウンターパート機関の大幅な組織変更など、取り組む課題も多いが、人々の生活の向上のスピードも速くなると考えて、臨機応援に対応していこうと思う。
プロジェクトギャラリー

給水施設マッピング研修

JICA 水の防衛隊によるハンドポンプ修理ワークショップ
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水質管理能力強化研修(塩素消毒)

給水計画作成研修

水安全計画作成のためのコミュニティ会議
プロジェクト担当者
国際航業(株)
石田智(いしだ・さとし)さん
大学では農業土木を専攻。卒業後はゼネコンに就職し、主に海外工事に従事した。現職に転じてからは、主にアフリカを中心とした村落給水プロジェクトの給水計画、給水施設維持管理などに関する業務に従事している。
※国際開発ジャーナル2025年2月号掲載