チュニジア|南部地域スファックス大都市圏都市給水区域における無収水削減能力向上プロジェクト

DXで無収水の削減と持続可能な水道事業を目指す

簡単にアプリ開発できるノーコードアプリ活用

チュニジア南部スファックス市は、地中海性気候による少雨と乾燥から水供給確保の課題を抱えており、他地域からの送水や海水淡水化プラントからの水供給に頼っている。しかし、送水・造水コストが高く、持続可能な水道事業としていくためには、配水管からの漏水や水道メータの誤差といった無収水の削減が求められている。

私は、副業務主任兼漏水探知計画1として八千代エンジニヤリング(株)と日本テクノ(株)の共同企業体が実施する本プロジェクトに参画し、水道事業体の漏水探知管理能力の強化に取り組んでいる。その活動の核として、デジタルトランスフォーメーション(DX)を積極的に導入している。

プロジェクト開始当初、毎日の送水量はPDFで各担当者に共有されていたが、一部の職員が個人的にExcelに入力しているだけで、日々の変化の把握や共有は行われていなかった。この状況を踏まえ、無料のビジネスインテリジェンスツールであるGoogle Looker Studioを活用したデータ可視化・情報共有システムを構築。これにより、日々の生産水量や配水量がグラフ形式で関係者に毎日自動配信されるようになり、職員は直感的に水量の変化を把握することが可能になった。

また現場での漏水探知の効率化を図るためには、デジタルでのデータ蓄積が不可欠であった。そこで、ノーコードアプリであるAppSheetを用いて、漏水調査報告アプリを開発。Looker Studioでデータを可視化し、情報共有するシステムも導入した。

水道事業体からは、開発方法を詳しく知りたいとの要望が寄せられており、研修を開催する予定である。今後は、彼ら自身で必要なアプリを開発し、業務の効率化、可視化につなげられるようにしていきたい。

プロジェクトギャラリー

漏水探知器の動作確認作業

.現場における漏水調査報告アプリの入力指導

参考資料1:Looker Studioで構築した特定日の水の分配量が可視化されたページ

 参考資料2:AppSheetで収集したデータのLooker Studioでの可視化

プロジェクト担当者

日本テクノ株式会社

管理本部新規事業開発室 村上 照機さん(むらかみ・てるき)

2002年に京都大学人間・環境学研究科修了後、国内建設コンサルタント会社を経て、2008年に日本テクノ入社。アフリカ、中東、アジア、中米で、水道、トイレ、手洗いのプロジェクトに従事。新規事業として水売りビジネスをセネガルで立ち上げる。

※国際開発ジャーナル2025年8月号掲載

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