バヌアツ共和国|災害発生後の復興支援のための迅速な調査業務

Build Back Betterの復興支援に踏み出す

日本ならではの知見を生かし災害に強い国づくりを支援

バヌアツは南太平洋の80あまりの島々からなる国で、約32万人が暮らす。その島々を2024年12月17日、マグニチュード7.3の地震が襲った。死者14人、負傷者210人以上という人的被害に加え、橋や埠頭、公共施設などに甚大な被害を与えた。

国際協力機構(JICA)は復興支援のために迅速な調査業務の実施が不可欠と判断し、緊急災害調査スタンドバイ契約に基づき12月23日に簡易プロポーザルによる選定を開始。パシフィックコンサルタンツが約1カ月に及ぶ調査業務を受託した。受託決定翌日の12月27日には国内で衛星画像を使った被害状況の分析や調査方針の立案、派遣メンバーの日程を確保。

私は業務主任として他2人と共に1月4日に現地入りした。1月6日以降、当社の道路、橋梁、港湾、建築のそれぞれの専門家と復興計画に精通したメンバーが、空撮用ドローンや3Dスキャナを携行して到着。国内では衛星画像解析を専門とする2人が業務に就いた。

現地ではオーストラリア、ニュージーランドの他、中国からの調査団も活動していたが、早期に、かつ1カ月にわたって各インフラの専門家が詳細な調査にあたったのは私たちのみで、現地政府からは大きな感謝が寄せられた。こうした調査により、単に元に戻すだけでなく、災害に対してより強靱な地域づくりを行う「より良い復興(Build Back Better:BBB)」の理念に則った復興計画や、バヌアツ共和国の国土強靱化への貢献につなげられた。

多くの災害を乗り越えてきた日本が培ってきたBBBの理念を具体化する上でも、今回の調査の価値は大きい。その意義や教訓をくみ尽くし、日本だからできる復興支援を今後も展開していきたい。

プロジェクトギャラリー

米国大使館が入っていたビルが全壊した

湾岸の被害状況を視

バヌアツでの調査結果報告やBBBセミナーを実施

地震の影響で発生したがけ崩れ

港湾視察を行ったメンバー(出典:JICA)

プロジェクト担当者

パシフィックコンサルタンツ株式会社

千田 雅明さん(ちだ・まさあき)

1987年入社。阪神・淡路大震災や東日本大震災などの復興事業に長く携わり、その知見を生かしてJICAなどが進める復興開発への貢献を目的とした海外緊急開発調査にも数多く携わっている。

※国際開発ジャーナル2025年9月号掲載

\ 最新情報をチェック /

PAGE TOP