ブルンジ|ブルンジ国稲作改善支援計画プロジェクト(PAARIB)

質の良いインボ米で国と地域を変える

稲作振興を通じた国・地域の安定化への挑戦

かつての長期的な紛争の影響で、ブルンジ国内や周辺国では不安定な状況が続き、食料不足に直面している。そうした中、国際協力機構(JICA)による初の稲作開発分野の技術協力プロジェクト「PAARIB」が実施された。2015年の政治的混乱による中断を経て2023年に再開されたPAARIB
は、2026年の完了に向け、インボ灌漑地区でコメの種子増殖・営農・収穫後処理・精米改善を中心に活動を展開している。

当初、ブルンジ人からは日本人と共に活動することへの驚きや戸惑いも見られたが、技術習得に対する高い要望や彼らの勤勉さが結実し、少しずつ成果が表れている。例えば、トレーナー研修を受講した生産者組合が中心となり、習得した技術・知見を、農作物を栽培する圃(ほ)場で活用し、デモンストレーション圃場を設置している。現場のステークホルダーと共に指導することで、安心感を与えられていると感じる。

同プロジェクトの実施にあたり重視しているのは、現地の人々がプロジェクトに対する正しい認識を持てるよう、政策レベルから現場レベルまで、あらゆる関係者に対して説明を行うことだ。

実際に対象の生産者組合に対する説明では「PAARIBでは全対象地域に直接介入するのではなく、一部地域を対象に介入、同プロジェクトで得た成果や手法を受講者が中心となって展開されることを目指している。プロジェクトに賛同する人々と共に活動したい」と伝えた。

PAARIBでは、食料安全保障の面からブルンジ人の自立支援に貢献することが目標だ。生産者自身が積極的に技術を普及し、発展させ、食料自給を達成するための仕掛けを、今後もブルンジ側カウンターパートと共に検討・採用していきたい。

プロジェクトギャラリー

プロジェクトの方針や目的を生産者組合へ説明し、理解を深めている様子

田植えに関する生産者向け研修

収穫後処理に関するトレーナー研修。グレインスコープで胴割れを観察している様子

日本側専門家が同席した収穫後処理に関するトレーナー研修

カウンターパートたちと作成したプロジェクト略称(PAARIB)とロゴ

プロジェクト担当者

NTCインターナショナル株式会社

滝川 永一さん(たきがわ・えいいち)

平和構築部部長。平和構築、農業農村開発、ガバナンス分野の開発コンサルタントとして、コンゴ、ブルンジ、シエラレオネなどのアフリカの国々や、シリア、アフガニスタン、トルコなどの中東諸国での国際協力事業に従事。好きな国際協力機構(JICA)の支援スキームは、技術協力プロジェクト。技術士(農業)。

※国際開発ジャーナル2025年8月号掲載

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