ウガンダ|電子マネー決済を用いた持続可能な給水事業

電子マネー決済による料金徴収の仕組み

すべての人に水を届けるために

ウガンダでは水道に接続していない家庭が水を得る手段の一つとして公共水栓がある。地域にある公共水栓にバケツを持参し、管理人にお金を支払うことで水を購入する。しかし、公共水栓の管理人が不在時は購入できず、また毎回現金を持参しなければならなかった。管理人が水の料金を不当に値上げする事例や、売上金を盗難する問題も発生していた。

本プロジェクトは、日本の交通系ICカードのように、事前にお金をカードにチャージし、タッチするだけで水が買える電子マネー決済システムを公共水栓に搭載することで、現地のさまざまな課題を解決することを目的としている。

2023年11月、研修の一環で日本に訪れたウガンダ人研修生が本システムに興味を持ち、「ぜひわが国でも実施してほしい」と私に声をかけてくれた。彼の熱い思いに応えたいと、経済産業省のJ-Partnership制度を利用して2024年7月に現地調査を開始し、11月にカウンターパートである水環境省と基本合意書(MOU)を締結。商店が並ぶマーケットエリアを中心に給水施設を5基建設し、12月に事業を開始した。事業計画から調査、現地との調整、建設作業、事業実施まで6カ月という短期間で実現できたのは、カウンターパートの迅速な対応が大きかった。

現在はパイロット試験期間であるが、既に多くのユーザーが利用している。キャッチフレーズである“Amazzi Ga’bonna(Waterfor Allという意味のルガンダ語)”はカウンターパートのメンバーたちがアイデアを持ち寄り、投票で決定したものだ。将来は他の地域にも展開し、キャッチフレーズ通りすべての人に水が行き渡るサービスへと展開させていくため、今後も尽力したい。

プロジェクトギャラリー

キックオフミーティングには水環境省の各分野の専門家が総勢12人集まり、活発な議論が行われた

カウンターパートである水環境省とMOU を締結

維持管理トレーニング

建設した給水施設。キャッチフレーズである“Amazzi Ga’bonna” が印象的

給水施設の操作方法や料金、緊急連絡先など使用方法の説明を聞く利用者

プロジェクト担当者

鉱研工業(株)
森山和義(もりやま・かずよし)さん

新卒で鉱研工業に入社。政府開発援助(ODA)ではマリやブルキナファソ、ナイジェリア、ザンビア、マラウイなどアフリカを中心に井戸掘削および上水道建設事業に携わる。写真は、森山和義さん(左)、現地パートナーのMr.Nabende Innocent(右)

※国際開発ジャーナル2025年2月号掲載

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