常に柔軟な思考で現場に対応
研究分野は、地震や地下水などの自然現象を物理的な面から考察する自然史科学です。大学院修了後に地球システム科学を選んだのは、まさに自分の研究分野を生かした仕事ができると思ったからですが、かつて同じ研究室にいた当社の会長と出会ったことも縁になりました。
当初は海外で働くことを目指していたわけではなく、国際協力機構(JICA)や政府開発援助(ODA)についても知識として知っていた程度です。しかし、入社2年目にボリビアで初の海外出張を経験してから、ほぼ毎年、開発途上国に通ううちに気持ちが変わりました。途上国で開発コンサルタント業務を行う場合、相手の能力に合わせた調整作業が何より重要になります。こちらの期待通りに作業が進まないことも多々ありますが、相手国側関係者の話をじっくり聞き、「今できることは何か?」「別のやり方はないか?」と柔軟に考えることで、私自身の成長にもつながったように思います。
現在はアジアの2ヵ国で、地理情報システム(GIS)を活用した技術協力プロジェクトを担当しています。ブータンでは、先の熊本地震でも大きな被害を出した斜面崩壊や地滑りの起こりやすい地点を調べ、GISデータベースを作成中です。同国の担当者がこのデータベースを見れば、地図上でどこの地滑りが危険なのかひと目で分かり、スムーズな防災対策に役立ちます。
バングラディシュでは、水関連インフラ整備の一環として、かんがい施設を含む河川維持管理施設や堤防の位置、破損した場所などのデータベース化を指導しています。どう役立つか理解してもらうのに時間がかかったり、お互いの理解不足から思うように技術移転ができなかったりもしましたが、よくやく順調に進みつつあります。
入社8年を経て、ようやく開発コンサルタントの一員として自覚と自信を持って活動できるようになれた気がしています。若い皆さんも焦る必要はありません。語学力は海外での仕事を通じながらでも向上できますし、日本独特の勤勉さや仕事の進め方を身に付けていれば、海外でも必ず役に立ちます。私もさらに専門技術を学び、引き続き研さんを積んでいきます。
※齋藤高さん(株式会社地球システム科学 防災事業部 35歳)
Career Path
・26歳 北海道大学大学院修士課程(自然史科学専攻)修了。地球システム科学入社、防災技術部に配属
・28歳 ボリビアやベトナムのJICAプロジェクトに参画
・31歳 バングラディシュで「持続的な関係インフラ整備に係る能力向上プロジェクト」に参画
・33歳 ブータンで「道路斜面管理マスタープラン調査プロジェクト」に参画
会社情報|株式会社地球システム科学
水資源開発や災害対策など緊急課題に注力
水資源開発、気候変動や災害対策など世界的な取り組みが求められる緊急課題を中心に、実力派コンサルタントとして地歩を固めているのが、地球システム科学(ESS)である。1991年の創立以来、国内事業で技術力とノウハウを培い、現在は政府開発援助(ODA)を主軸とした海外事業が売り上げの95%を占める。また、昨今は国内中小企業の製品・技術の活用を通して、開発途上国のさまざまな課題解決を図る「中小企業海外展開支援」にも積極的に取り組んでいる。
現在、同社は「戦略ビジョン2020」を掲げ、グローバル企業への飛躍とプロフェッショナルとしての誇りを持ち、将来に向かって夢が語れる企業の創造を目指しており、新卒・中途も含めて優秀な人材の掘り起こしにも積極的だ。中途採用の社会人募集では、専門性と技術力を持ち、柔軟な発想と高いコミュニケーション能力を備えた海外業務経験者を求めている。新卒者(学部・大学院)は水資源・地下水開発、防災、環境分野などの基本的な知識と英語力(フランス語やスペイン語も歓迎)を持ち、自らの専門性を磨き続け、気概と熱意を持って海外の現場に向き合う人材を求めている。
Company Data
・株式会社地球システム科学(Earth System Science Co., Ltd.)
・〒160-0022 東京都新宿区新宿1-23-1 新宿マルネビル7F
・海外事務所:ボリビア、スーダン
・設立:1991年5月 資本金:4,000万円
・従業員数:53人(2016年5月現在)
・代表者:代表取締役社長 板越優克
・事業分野: 水資源・地下水開発、防災対策、気象・水文調査、地下水解析、湖沼・氷河調査、土木地質調査、地滑り調査・解析、物質探査全般、非破壊検査など
・TEL:03-3357-1761
・E-mail:info@ess-jpn.co.jp
Recruitment
・新卒採用:あり
・中途採用:あり
・募集職種: 土木(水道・河川)水理地質、環境、気象・水文、防災、砂防などの各技術者
『国際協力キャリアガイド2016-17』に掲載
(本内容は、取材当時の情報です)
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