水を求める人々の期待に応える
水環境分野を専門とする当社に入社してまだ3年ですが、ミャンマーや南スーダン、ヨルダン国内のシリア難民支援などの現場を次々に経験させてもらっています。青年海外協力隊経験者の担任教師の影響で、小学生の頃から海外の仕事にあこがれ、大学ではアジアの地域研究に取り組みました。大学2年の時に現地調査で訪れたバングラディシュで、水道事業に携わる日本人専門家にお会いし、水分野の仕事に興味を持ちました。卒業に際して、技術系だけでなく、文系出身者にも活躍するチャンスがあると知って当社に応募しました。
入社後まもなく派遣されたのが、ミャンマーの古都マンダレーの上水道西部計画準備調査です。同市は地下水源が豊富で、住民は井戸水を使っているのですが、必ずしも安全な水とは言えません。そこで国際協力機構(JICA)の無償資金協力で新たな水道網を整備する事前調査として、業務調整の傍ら、200地点の水質調査や社会調査に取り組みました。翌年は事業の詳細設計に参画し、今年度に整備工事が始まります。
ヨルダンの緊急給水計画策定プロジェクトでは、シリア難民の流入によって、さらに水供給が不足した町で浄水場や給配水管を管理する水道公社の現状や問題点を把握する調査を行いました。現地では、住民と難民の間で水をめぐる確執も生じており、給水はまさに緊急課題にもなっています。現在は内戦後の復興途上にある南スーダンの首都ジュバの水道事業支援として、水道公社の能力強化に向けた本邦研修や第三国研修の準備を進めています。長年にわたって教育の機会が奪われていた同国では、水道公社でさえ水量や薬品量の計算がおぼつかない職員が多く、プロジェクト目標達成に向けてやりがいを感じています。
日常生活に不可欠な水分野のニーズは切実であり、どの国でも期待の高さを感じます。私自身はエンジニアと技術的な話ができるように勉強を続けると同時にプロジェクト修了後も現地の水道関係者が自分たちで持続的に事業を運営していける組織づくり・人材育成を心掛けています。長い間の夢だった開発途上国の現場で、人々の期待に応える仕事を目指していきたいと思います。
※松井智諒さん(株式会社TECインターナショナル 技術グループ 24歳)
Career Path
・22歳:東洋大学国際地域学部卒業、TECインターナショナル入社。入社して間もなくミャンマー、ヨルダン案件に参画
・23歳:ホンジュラス案件に参画
・23歳:PCM研修に参加
・24歳:南スーダン案件に参画
会社情報|株式会社TECインターナショナル
上下水道・水環境分野のパイオニア
上下水道を中心に水環境分野に特化した東京設計事務所(TEC)の国際部門として、2012年7月に設立されたTECインターナショナル。TECは1959年の創業以来、政府開発援助(ODA)の技術協力や資金協力事業を手掛けてきた。この分野でのパイオニア的な存在であり、TECインターナショナルがその実績を引き継いでいる。TECグループの社員334人(2016年4月時点)のうち、技術スタッフが250人を占め、延べ132人が技術士の資格を有する。上水道や工業用水道、下水道の調査・計画・設計・監理から水資源開発や環境アセスメントまで、幅広い業務に対応する。カンボジアや東ティモール、イラン、イラク、南スーダン、シリア、ウクライナなど、紛争や自然災害に見舞われた地域の復興支援の実績が豊富で、緊急性が求められるプロジェクトで特に大きな成果を上げてきた。
同社は2015年4月にインド支社(現地法人)を設立し、日本人支社長の下に現地エンジニアを配置している。ここを拠点にインド、ネパール、スリランカなど南アジアおよび周辺地域をカバーし、日本のODA事業だけでなく、現地政府が発注する案件を積極的に受注していく方針だ。
Company data
・株式会社TECインターナショナル(TEC International Co., Ltd.)
・〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-7-1 霞が関東急ビル7F
・海外事務所:インド・アゼルバイジャン・アルバニア
・設立:2012年7月 資本金:6,000万円
・従業員数:55人(2016年4月現在)
・代表者:代表取締役社長 武智昭
・TEL:03-3580-2418(代) FAX:03-3591-0492
・E-mail:info@teci.jp
Recruitment
・新卒採用:あり
・中途採用:あり
・募集職種: 設計技術者(上下水道など)、施工監理者、ソフト分野(水道事業運営、組織制度/財務など)
・募集人数:若干名(随時募集)
『国際協力キャリアガイド2016-17』に掲載
(本内容は、取材当時の情報です)
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