マーシャル諸島共和国|マジュロ環礁における貯水能力改善計画

マジュロ環礁の水資源リスク低減を目指して

各関係機関との連携で問題解決

マーシャル諸島共和国は、河川や湖沼がなく変動の大きい雨水への依存度が高
いため、水の安定確保が難しい環境にある。近年、首都のあるマジュロ環礁では需要水量の増加、降雨パターンの極端な変動が顕在化し、確実な供給水量の確保が課題となっている。本案件の貯水池建設により貯水能力の改善が期待される。

本案件は、日本の政府開発援助(ODA)の無償案件で、雨水を貯留する貯水池(貯留量43,000㎥)の建設とその外洋側に面する護岸工事(延長280m)が主要な工事となる。プロジェクトを進めていく上で苦労した点は、現場立ち上げ時の円滑な許認可の取得だった。特に工事の肝となる貯水池建設の盛土材料と、護岸工事に使用する岩材採取の許認可取得が難航した。当初、現地国施主側が主体となり環境省に許認可の申請を行っていたが、不慣れなこともあり円滑に進まなかった。そこで、許認可取得の経験がある現地下請け業者に手続きを担ってもらうことで、工事開始時期に間に合わせることができた。

私は、以前の現場で関係者とのコミュニケーション不足により、情報が共有されず、問題を解決できなかったという経験をしたため、今の現場運営では、関係者内での良好なコミュニケーションを大切にしている。今回、当初の正式な手順(現地国施主側による申請)でうまく手続きが進まないという問題が起こったが、各関係者と連絡を取り合ったことで、他の最善策を見出し、問題解決につながった。

本案件の完工により、水資源の状態だけでなく、受益者の生活も改善され、マーシャル諸島共和国の未来を担う子どもたちの成長にも良い影響があることを願って残りの業務に取り組みたい。

プロジェクトギャラリー

施工現場全景(工事着工前:2024年7月)

施工現場全景(2025年2月時点:コンクリート擁壁の 中に貯水池ができる)

本案件の工事看板(幹線道路沿いに設置しており、日本のODA案件であることが現地住民にも認知されている)

護岸工事(岩材設置の様子)

朝礼前のラジオ体操の様子

プロジェクト担当者

大日本土木株式会社 海外支店
東條 雅行さん(とうじょう・まさゆき)

2003~05年にJICAの青年海外協力隊柔道隊員としてジンバブエで活動。その後、農学研究科修士課程修了後に大日本土木株式会社に入社。タジキスタン共和国、ヨルダン王国、ブータン王国、ジブチ共和国などの計海外7現場での業務に従事し、現案件業務に至る。

※国際開発ジャーナル2025年4月号掲載

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