セネガル|セネガル国コミュニティ健康保険制度強化プロジェクト(Dooleel CMU)フェーズ2

病気になっても大丈夫と思える社会へ

セネガルで育てる医療保険の文化

セネガル政府は、脆弱な環境や貧困の下で暮らす人々も含め国民全員が医療を受けられるよう、コミュニティ健康保険の普及を推進している。しかし、窓口職員による接客対応の質や事務財務管理能力、保険料の徴収、情報システムの整備、財源の確保や補助金の運用など多くの課題があり、同保険によるカバー率は未だ対象人口の二割ほどに留まる。

そこで私たちは、加入を促進するだけではなく、加入登録や診療報酬申請手続きの改善、会計ツールの開発・導入による保険料や補助金管理の透明化など、システム全体の改善に取り組んでいる。誰もが支払い可能で、持続性が高く、誰にとっても使いやすい健康保険サービスの在り方を見極めようと、今日も現地の人たちと粘り強く、その仕組みづくりに向き合っている。

現場での活動は、西アフリカ特有の行政慣行やセネガルの医療保障制度の特徴もあり、一筋縄ではいかない。保健行政・財政、データに基づく普及促進など多面的な取り組みが不可欠なため、医師や看護師、保健財政の専門家に加え、環境分野の専門家、システムエンジニア、元メディアディ
レクターなど多様なメンバーでチームを組んだ。年齢も30~70代と幅広く、それぞれの専門性と知見を総動員して、発想し協働することで、現場に寄り添った成果を生み出している。チーム内で意見が割れることも多いが、中堅の私がシニアと若手の間を取り持つことが自分の一つの役割だ。それにより、互いの強みや知恵を生かせるチームとして良い仕事ができることにやりがいを感じている。この仕事が、セネガルのユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)達成へ向けた道を切り拓いていくと信じている。

プロジェクトギャラリー

医療審査基準改善に向けたカウンターパートとの協議

窓口職員の財務管理能力の査定

窓口職員の財務管理能力強化支援

窓口職員研修教材作成に向けたロールプレイ案のトライアル

プロジェクト担当者

株式会社アースアンドヒューマンコーポレーション
保健情報管理・モニタリング担当


西張 由希子さん(にしばり・ゆきこ)

「女性に生まれただけで学校に行けない?」という思春期に抱いた疑問を胸に大学院ではジェンダーと開発を専攻。JICA海外協力隊でのセネガルの女性の衛生環境改善の経験を経て同社へ入社。女性が脅かされることなく笑顔で生きていける世界を目指して奮闘中。

※国際開発ジャーナル2025年8月号掲載

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